上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ
にほんブログ村

 窓の外に目をやると、昨日より一段と空が遠い。中庭の銀杏がほんのりと黄金色に色づき始めている。すっかり秋の気配を感じさせていた。夕方になれば涼しさを通り越して、少し肌寒さを感じる。昼間は、あんなに暑くだるいのに…。この気温差がちょっと身体に堪える。

 今朝、無理やり母さんに渡されたカーディガンが役に立とうとは、思ってもみなかった。「荷物になるからいらねー」って拒否した事を申し訳なく思い、心のながで反省の念を送った。俺は、スルリとアンゴラ混のカーディガンを羽織った。

 教室にはまだ数名が残っている。6限目の生物のプリントを今日中に提出しなければならないからだ。前回行った実験の結果が黒板にびっしりとまとめられている。俺のグループは比較的まともな実験データを得ることが出来たので、考察をまとめる程度で済んだ。
 
「鳴海。シャーペン貸して…。俺らのトコ実験失敗したから、コレ写さないと…」

 背後からため息交じりの不満げな声がして、克哉は俺の前の席についてこちらを見ている。
 
「ん」

 目線は克哉を避け、そのまま手にしていたシャーペンを克哉に差し出した。

「サンキュ!」

 あっ……。
 右手の人差し指の先に、克哉の指がほんのちょっと触れた。驚いてその反動で思わず顔を上げてしまった。一瞬にして体中の血液が頭へと昇ってくるのが分かる。頬杖をついている左手に加速する脈音が痛いほどに打ち付けているのを感じていた。
 
 克哉は俺からシャーペンを受け取るとプリントをヒラヒラさせながら、黒板がよく見えるところに移動した。
 バレていない―――
 たかだか指が軽く触れた位の事でいちいち動揺している自分に驚いた。しかも、それが気づかれなかったことにホッとするなんて、どうかしている。

 俺は、窓の下に見える中庭を眺めているフリをしていた。
 そう…。フリだ。目線は外を向きながらも、克哉の姿を右目端に捉えて盗み見ている。必死に黒板とプリントを視線が行き来する。その横顔が真剣過ぎて笑える。
 時折シャーペンを下唇に押し当てて、考え込んだりする仕草をする。その度にギュッとつままれたような感覚が全身を襲ってくる。そして、さっき軽く触れた指先がジンジン疼く。

 右手の人差し指が熱い―――そっと唇で触れてみる……

 はっ……。何やってんだ俺。我に返ると今のしぐさが誰かに見られていたような気がして急に恥ずかしくなった。克哉相手に何考えているんだ…。
 俺は居た堪れず席を立った。

 西日の光線を受けた放課後の長い廊下は寂寥感が漂う。この感じは俺の身体のどこかに存在する。うっかりすると足元をすくわれそうになるから、気を付けなければと警戒心が強くなる。
 なんか飲み物買ってこよう…。喉の奥に何かが詰まったようで気分が悪い。

「 っつ―――!」
 教室を通り過ぎようとした瞬間グイッと腕をつかまれた。
 
 
「鳴海。オレ、いつものね」

「はぁ?」

「自販機いくんでしょ?」

「なんでわかる」

 克哉は笑っているのか?逆光で表情が読み取れない。
 つかまれた腕を振りはらい、中庭の自販機へ向かった。
 
 中庭の隅に無機質な自販機が3台ならんでいる。
 克哉がいつも買っている銘柄のストレートティー。ボタンを押そうとしたとき
 ほんの一瞬邪推が横ぎった。
 なんかむかつく。俺あいつのパシリか?
 思わす隣のアップルティーを押した。

 教室に戻ると、克哉は俺の机に腰かけて外を見ていた。

「ん」

「サンキュ」

 汗をかいた缶を克哉が受けとった。

 あ。まただ…。
 俺は動揺を気づかれないよう、プルタブを開けて一気に中身を飲み干した。

 克哉も一口含んだ後、こちらをじっと見ている。

「あれ?鳴海めずらしいね。アップルティー買ったの?」

「うん」

「一口飲ませて」

 俺から缶を受けとり飲んだ。
 ゴクリと飲み込む音が、耳につく。気恥ずかしくて克哉を見ることはできない。

「あー。俺やっぱストレートのほうがいいや。コレ甘すぎ」

 じゃぁ。人のモン飲むなよっ。
 返ってきたアップルティーをじっと眺めた。
 飲まないと変だよな…。って、俺何考えてんだ。克哉は男だろ。
 
「鳴海?帰ろっか」

 鞄を肩にかけ教室を出る克哉の後に続く。
 グランドから運動部の掛け声が廊下に響いている。
 ふと目線を上げると、克哉の髪が西日に反射して茶色く透けて輝いて見えた。
 急に心臓の鼓動が早くなる。

 痛ってえ――。思わず胸をつかんだ。

「どうしたの?」

 克哉が振りかえり覗き込んだ。
 近すぎ…。

「わりぃ。なんか胸焼け」

「普段のまないヤツ飲むからだよ」

 こっちの気も知らないで、何言ってんだ。
 お前のせいだろっ。心の中で愚痴る。

「俺のせい?」

「え?」

「鳴海、けっこう分かりやすいから」

「な…なにいって…」

 いつもの交差点まで来ると克哉は「じゃ。明日な」と軽く手を上げて信号を渡って行った。
 人ごみに紛れていく克哉の背中をじっと見つめていた。

 もう一度……もう一度だけ振り向け…。

 そう思った瞬間……。克哉が立ち止まって振り返った。

 ドックン―――!

 ものすごい大きな音を立てて心臓が跳ねる。
 克哉は俺の視線には気が付かずまた歩き始めた。

 痛ッてぇ……。何だコレ……。言いようのない寂しさが心を襲う。

 鼻の奥がツーンと痛み涙がこぼれそうになった。

 やべぇ……俺。あいつが好きだ……。

 俺は涙が零れ落ちないように上を向くと、満月でもないのに丸く膨らんだ月がコッチを見ていた。


 
*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚ ゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚・*:.。..。.:*・゚゚

これが本当は当初、第一話のつもりで書いていました。

書き進めていくうちに
なんとなくこのエピソードは二人の事を知ったうえて
読んでもらいたいなって思って番外編の形をとりました。

鳴海と克哉の二人も可愛いのですが、いがいにもモブ
のつもりだった山川くんのキャラが気に入ってしまって
彼のお話がちょこっとあります。

これはもう少ししてからUPしますので
またその時はお付き合いください。



今日も最後まで読んでくれてありがとうございました♡


紗実の『俺的希求日記』なかなか
新着記事に追いつけないのですが
ひっそりとUPされてます。
よろしければ、カテゴリーの方から
そちらも覗いていただけると嬉しいです(´∀`*)ノ




関連記事


にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ
にほんブログ村


コメント

  1. |

    管理人のみ閲覧できます

    このコメントは管理人のみ閲覧できます

    ( 23:43 )

  2. 美咲ゆう | -

    Re: タイトルなし

    コメントありがとうございます
    凄く嬉しいです♡

    お声かけれず読み逃げしてスミマセン(;´Д`)

    わわわヾ(。﹏。)ノ゙
    鳴海の切なさ…伝わってくれて嬉しいです
    この二人はこれからも時々登場しますので
    よろしければお付き合いください!



    ( 13:08 )

  3. ぶろーうん | -

    遅れてしまったけれど……

    こんにちはー。

    あ、プロフィールが更新されてるっ。
    いつも小さいサイズでしか見てなかったので、新鮮!
    改めてみると本当に美人さんや~♪

    恋心が思案と似たような話しと聞いて、メインは律人だよな~とか思いつつも、葉山ルートあるんじゃねとか期待してしまいました♪
    はい、ぶろは葉山押しです。

    実はこのサイトの日記が気に入ってます♪
    日々の何気ない思いの動きとか、出来事が見れるのが楽しいです。DVDの件についてはかなり驚きましたww

    美咲キャラの脳内男子ーズ、みんな高校生らしい勢いと葛藤と青さがあって好きです♪
    紗実やなる君を見てると、美崎さんが永遠ちんが好きって言うのも納得しました(^_^)
    更新楽しみにしています♪♪

    ( 15:09 )

  4. 美咲ゆう | -

    Re: ぶろたん★

    ぶろたん!
    コメントありがとうデス♡


    プロフ画像でかいですよねww
    多分直しますw

    そうそう
    思案は年下ワンコ攻めが書きたくて生まれたもの
    なんですけど…

    でも
    当初、紗実が脳内で生まれた時は同級生CP
    だったんですよww
    まぁ実際今、思いを寄せているのは葉山なんですけどねw

    でも
    兄ズが微妙な動きをしているので…
    葉山兄、大輝には少し頑張ってもらわないとなぁ…と思ってますw
    DVDで弟たちをビビらせましたからねw
    なんとなーく苦手なタイプww

    きゃー!分析されてるw
    紗実と鳴海は永遠チンに通じますかw
    いやw恥ずかしいです…

    はい!これからもよろしくです♡

    ( 01:26 )

コメントの投稿

(コメントの編集・削除時に必要)
(管理者にだけ表示を許可する)



最新記事

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。